【コース体験記】UCL DEAPコース 中村由希さん
2010.09.02
アカデミック
授業のスケジュール
月曜日から木曜日まで毎日みっしり詰まっています。午前中はいわゆる英語の勉強、午後は2時間レクチャーやSkills Classなど、日によって異なります。さ来週からは金曜日の午前中にIELTSのクラスも入るので、もう毎日学校ですね。
移動教室
メイン・キャンパスだけではなく、教科によって教室を移動します。たとえば、Birkbeck College、Gordon Square、メディカル・スクール用の校舎、Cruciform Buildingなど。どこに行くか把握しておかないと迷子になっちゃうけれど、いろんな教室が見られておもしろいです。
UALとの違い
ここで勉強する前はロンドン芸大 (UAL) Wimbledon Collegeのファウンデーション・コースに在籍していたのですが、UALと一番違うところは、先生がしっかり来ることと出席をちゃんと取ることです(ははは)。
授業内容とクラス編成
授業はGrammar & Writing、Speaking、Subject Classの3科目で構成されています。
●Grammar & Writingは受講生のレベルによって10クラスに分かれています。
各クラスを覗くと出身国によって学生の得意分野が違うのがわかります。Writingクラスの上位レベルを占めるのはヨーロッパ人、中くらいにいるのが日本人、下にいくにつれてアラブ系が増えます。これがSpeakingクラスになるとアラブが上位に、日本人は下になります。ヨーロッパ系はもちろんどの科目でも常に上位です。
●Subject Classは学生の興味や関心の高いトピックを中心に行う授業で、おおまかにArt, Design & Architecture、Law、Medics、Business、Engineering、Humanities、Child Careという系統 に分けられています。学生が自分で選んで持ち込んだメディア記事(新聞や雑誌)についてのディスカッションやプレゼンテーションが行われます。これまで経験したトピックは国際関係学、移民の問題、文学の研究方法、キリスト教学などといったものです。私はこのコースを終えたらWimbledon Collegeのシアター学部に進学する予定ですが、歴史の知識が必要になると思ったので(あえてArt & Designではなく)Humanitiesを選びました。
クラスの顔ぶれ
出身国はバラけています。一番多いのはサウジアラビアで、その次が多分カザフスタン。アジア系では台湾人が多いですね。中国本土出身者は意外に少なくて私はこれまで3人しか会ったことありません。日本人は数名の交換留学生を合わせても大変少数です。
いろんな国の人がいるのはおもしろいです。どこの国の誰とは言いませんが嫌な国民もいますけど。たとえば(って、言うのかい!)カザフ出身の男性は女性を低く見る傾向があります…そういう「お国柄」が人権問題の議論の時に問題になったりして。ワタシ的には女性蔑視や年功序列的な上下意識は受け入れがたいけれど、それが「当たり前の常識」になっている国もあるのだという事実は勉強になります。
年齢的には25歳以上の大卒の人がほとんどです(私が最年少です)。大学院を目指す人と(国費で)アカデミック英語を勉強しに来ている官僚の卵たちがコースの大半を占めています。
エッセイ
エッセイは週1本のペースで書いています。1学期は300~500字、2学期は500~800字です。ありがたいのは、何度でも提出できてそのたびにチューターが丁寧にチェックしてくれることです。週一回の個人チュートリアルでもじっくり見てもらうことができるのでとても助かっています。
再提出再チェックができないガチンコのエッセイが各学期に1本あります。1学期は500字、2学期は1000字、3学期は2500字です。
宿題
宿題の量はすごく多いです。これさえ無ければ本当にいいコースなんですが。エッセイ、Reading、ボキャブラリーが各一本ずつ計3本というのが1週間の平均的な量です。
個人チュートリアル・システムとクラス再編成
全部で10人いるGrammer & Writing担当チューターが個人チュートリアルを受け持ちます。こういうところが問題で躓いているが、という学習上の問題はもちろんのこと、日常生活の悩み(住居や健康など)まで聞いてくれ、常に的確なアドバイスをくれるのでとても助かります。チューターは学期ごとに代わりますが、私の今のチューターは「心配症のおじさん」という趣きの穏やかな方です。各学期の終わりにテストをし、クラスも再編成されますが心機一転できてとてもいいシステムだと思います。
恵まれ過ぎ?学生ライフ
受講生のスティタスは学部生のそれに準じているのでいろんな恩恵にあずかっています。どこでも学割がきくし、‘UCL’っていうだけで優遇してくれるお店もあるし。
ソサエティ(サークル)も色々あります。わたしは(もともと柔道をやっていましたが)ここではテコンドーに入っています。香港人がほとんどですけれど。
週末は学校の友達とよく遊んでいます。盛大なお誕生日会をやったり、自宅に招いたり招かれたり。悩んでいそうな子がいたらみんなでケーキ屋さんに連行して白状させたり慰めたり。レスター・スクエアまで歩いて飲みに行ったり、ユニオン(学生組合)のバーに飲みに行ったり、とにかく飲みに行ったりと、ほとんどUCL周辺をうろうろしています。ロンドンの「美味しい」スポットって大体UCLの縄張り内にあるし‘足’で移動できる距離だから‘外’に出張る必要がないんですよね。
病気になっても安心
外国で一番心配なのは病気になったときですよね。いくら留学生保険に加入しているからといって、毎回日系の病院にばかりかかるわけにいかないし。こういうときもUCLはやはり心強い味方です。ユニオンの裏手にUCL学生専用のGP(見立て医師)が常勤していていつでも診てもらえるのでとても安心です。普通のGPだと全然予約も取れないし大変じゃないですか。ここだと予約無しでも1時間も待てば診てくれるので本当にありがたいです。
UCLって
UCLは一言でいうとunusualな学校です。「きっちり」と「ゆるゆる」が同居しているって言うか、「ヒッピー」と「堅物」が同居しているって言うか。
こじんまりしてみんなが家族みたいなWimbledon Collegeで1年過ごしてきた私にはUCLは大き過ぎて初めはちょっとカルチャーショックでした。しかし、ここUCLでは幸せに思うことが多いです。たとえば、学生証、学割オイスター(定期券)などホントにすぐにできるんですよ。事務がしっかりしているから。えっ、たった3日でできるの?!という感じ。こういう事務処理のスピードや対応はWimbledon時代には絶対ありえないものでした。
舞台コスチューム+イギリス=留学
もともと舞台が好きで演じたり裏方をしたりしていたのですが、高校最後の舞台のときに、野球選手の役で出演する友達が本番前に手を骨折。その怪我をごまかすために私がグローブを作ったんですが、それが舞台コスチュームの面白さに目覚めたきっかけです。「いくらでもごまかせるじゃん」って。
また、小学生のときに読んだ「おちゃめな双子」も留学の後押しをしました。イギリスの寄宿舎生活を描いた子供向けの本なのですが、あぁこんな生活楽しそう!この国に行きたい!すっかりはまって、いつか必ずイギリスに行くって決めていました。
なぜWimbledonを休学してUCLに?
英語をペラペラ喋れないのはいいんです(良くは無いだろうが、我慢できる)。でも英語を「理解」できないと制作に支障をきたすし(英語の資料しかないのですから)、Critだって自分のCritなのに人にリードされてしまいます。Wimbledon College時代にそんなことが重なって「きちんとした英語ができればこんな情けない目に会わないのに」と悔しい思いをしました。学部のオファーはもらったけれど〔原始人英語〕のまま進学したら絶対途中から付いていけなくなるのが眼に見えていたので「ちゃんとした英語を身に付けてから学部に行こう」と決め、Wimbledonのオファーはデファーしました。
UCLで勉強を始めてから、Writingが伸びました。Writingが伸びたらSpeakingも1年前と比べてずっと良くなりました。これならWimbledonに復帰しても大丈夫?ちょっと遠回りになったけれど、UCLに来てよかった。