留学体験記

【コース体験記】Artscom@CSM Typography 市川まさやさん

2009.06.15

セントマーチンズ短期コース

●●●●行った●見た●やった ●●●●
★☆ 私、セントマのショート・コースに行ってまいりました☆★
大阪のプロの実力見せたるで ******







ロンドンのあちらこちらでサクラの花が暖かな季節の到来を告げる2009年4月、関西から4人の若者がヒースローに到着。噂のセント・マーチンのEaster School(春休み)ショート・コース(1週間)に参加するためだ。4人とも年の頃は20代後半。うち3人は大阪のデザイン会社で働いている。この未曾有の不況時だからサバイバルを賭けて寝る間も削ってクライアントの間を駆け回っている。そんな忙しいスケジュールをやりくりしての渡英だ。
昔New Yorkなんかに行ったときは「まーここはここで良いんだけど、こんなもんかなー」みたいなレベルの感動で、「じゃ、ロンドンって?」と以前から強い関心を持っていたのだ。
全員、英語はお話にならないレベルだが、Never mind!日頃のハードワークのおかげで皆、体力だけは自信がある。英語なんか出来なくたってそんなもん、どーちゅーことない。俺らには世界共通のワザがある。大阪のプロの実力、見せたるでー。待っとけよ、セント・マーチン。


そして ●●●●●●
コースを終えて帰国した4人からユニコンに旅日記が届きました。“未知との遭遇”的反応がおもしろかった。超ストレートなコメントも心を打ちました。内輪(ユニコン)だけで楽しむのはもったいないのでホームページで紹介することに勝手に決定。涙あり喜びありの2009年版浪速男の青春アンソロジー、お読みください。関西トクユーのど根性だけで彼らはいかにコースを乗り切ったのかー?

●●第一回目の語り手はMr Masaya ICHIKAWA●●
参加したコースは“TYPOGRAPHY”

私が受講した“タイポグラフィ”はプロフェッショナル向けのレベルで特に『文字の扱い方』に的を絞った内容でした。かなり専門的なせいか、他の受講者も大半が母国でプロとして働いているデザイナー達でした。タイポはグラフィック・デザインの中でも重要で奥深い分野ですが、コースではその基礎部分に焦点を当てている印象を受けました。

午前中の授業
メーンのレクチャー(講義)ではプロジェクターを使用して次のようなことを学びました。
●クラシック・フォント(英国・ドイツ中心)の現在に至るまでの歴史や扱い方
●お勧めの文献
●デザイン・ワークの上での実用的なフォントの紹介やWEBサイトの紹介
 
tutor

午後の授業
午後は実技。ディスカッションを交えながら課題中心に進められました。
課題は1日につき3つくらい出され、それぞれを1時間くらいで仕上げます。完成すると壁に貼り出し、チューター(先生)が評価やアドバイスをしたり生徒同士での感想や意見の交換があります。時間切れで完成できない課題であっても(未完のまま)評価されるので時間的に忙しい思いをしました。

 課題はすべて『手作り』。そのままの意味です(PCを使わない)。最初の課題は昔のFontの作り方で、手書きによるタイポ製作のノウハウが新鮮でした。でも最終段階に入ると実践を重んじる自分としてはPCを使いたい気持ちでいっぱいでした(ひとつの課題に割り当てられている時間が短いので手書きでは時間を取られすぎて完成するのが難しい)。PCを使えば同じ時間で数パターン作れるのだが。

活版印刷(Letter Press)のメタルタイプ 活版印刷(Letter Press)作業中

タイポの1週間は、
手書きによるタイポ製作のノウハウ ? 課題実践 ? タイポのみによるポスター製作 ? LOGO製作 ? 昔の活版印刷機(Letter Press)を使用してのワークショップ ? クラスメート全員による合作
という流れで怒涛のように過ぎました。

もったいない
 とにもかくにも、『英会話力』ですね、やはりってゆうか。僕の場合はコース・チューターが優しい人で別途で易しい英語で説明してもらえたから良かったようなものの、課題中心の授業なので課題のテーマを理解できないまま放置されていたら大変だったでしょう。いちいち隣の人に聞くのも大変です。課題作品は完成の都度壁に貼り出してチューターの評価とアドバイスを受けるのですが、それを理解できないのがまた辛い。褒められているのは雰囲気で解るのですが、どこがどのように良いのかが理解できない。どうすればもっと良くなると言っているのかが解らない。もったいない!と心底思いました。チューターはイギリスでデザイナーとして有名な方だったので、なおさらもったいないと思いました。

もったいなかったけど
でも、この英語のハンディの分を差し引いてもコースから得られたものはとても大きい。いくら英語が理解できないと言っても、身を引き締めて聞いていれば動物的感覚である程度は解ります。

日本はアルファベットの国でありません。でも僕が仕事で依頼されるのはアルファベットを使ったデザインばかりです。それが本場のコースでアルファベットの“歴史”や“ルール”に触れることにより、少し成長できた気がします。

アセスメント風景
ロンドン、待ってろよ、また来るから
言葉が出来ないからこそ皆の何倍も頑張らなくてはいけない。英語不能者でも僕は常に全身全霊でクラスに参加しました。そんな頑張りは言葉を越えて皆に伝わるのですね。優しくしてもらって友達もできました。
ある時、なぜか、チューターが急に僕の肩を抱いて、「Masayaは英語が不自由なのにこんなに頑張っている。本当に勇気がある」みたいなことを言うと、みんなが拍手をし始めて「very well」コールが湧き上がりました。泣きかけました。

このコースから得たものは技術・知識だけではありません。なんていうか、過去の自分と決別できたというか、自分に勝った、みたいな。素晴らしい達成感でした。人間はこうやって成長するんじゃないかと思いました。これだけ緊張感を持って頭フル回転させて必死になること、国内でフツーに暮らしていたら絶対経験できないし、流されて生きているだけではこういう状況は訪れませんから。

英語を話せるようになりたい!という気持ちは尋常じゃなかったです。そう思うようになったことも嬉しいです。ここでの経験をすれば誰しもきっとそう思いますよ。英語を話せたら自分の世界が何十倍にも広がるってこと、体で実感できますから。今度また行く日のためにエイゴの勉強始めたんですよ。

これからも頑張ります。チャレンジします。

タイポスタジオ

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