留学準備は英国で??はあ~?
2006.07.01
なに様コラム
英国大学に進学するのであれば、その準備の多くは英国でやるのがベストだと思う。というより英国でやるべきだと思う。
近年留学準備を売り物にするさまざまなコースが日本で行われている。ついでに言えば、このようなコースの授業料は結構高い。しかし留学の準備ということをいくつかの点で分類すると、日本でやれることは非常に限りがあることに気付かされるし、そのような限りあることに多大の時間とお金を費やすことに単純に疑問に感じるのだ。
まず留学を成功に導くために必要不可欠な準備を大別すると勉学面と生活面の2つに分けることができる。
勉学面は英語のトレーニングに始まり、アカデミック・スキルやリサーチ・スキルなどの実際に授業が始まった時のための準備があげられる。この中で現地つまりここでは英国でないとやりにくいのがリサーチ・スキルのトレーニングだ。理由は簡単で日本ではリサーチに必要な英語のマテリアルが限られていること。またアカデミック・リサーチへのアドバイスや評価ができる教師が少ないことも挙げられる。
特に大学院レベルとなれば、このリサーチ・スキルをトレーニングできないことは致命的といえる。
逆に日本でできるのはノート・テイキングやメイキングそしてアカデミック・ライティング(つまりエッセイ作成),プレゼンテーション・スキルなどだとは思うが、大学院のように非常に狭い専門的な分野を専攻する学生にとって、ある程度その分野に即した内容でそれらのスキルをトレーニングすることが当然効果的であることを考えれば、そのような分野別の英国人教師を見つけることが難しい日本ではそれも覚束ない。また価値観を共有する日本人同士のディベートに例えそれが英語で行われるとしても、さまざまな国籍の学生が集まる英国大学の授業の中でもっとも辛くまた重要な部分である文化や思想の違いによる価値観の衝突はありえない。
生活面で考えれば日本にいては全く準備にならないことは誰が考えても当たり前だ。
授業はネイティブ教師がやるとしてもそれ以外は全て日本の環境の中にどっぷり浸る生活の中で、留学の臨場感などあるわけがない。朝起きてJR線に乗って学校へ行き途中で腹減ったので立ち食いそばを食べて、ついでにスタバでコーヒーを飲む。授業が終われば友達とカラオケに行き夕食はファミレスで簡単に済まし、駅前のツタヤで面白そうな外国映画のビデオ(もちろん字幕スーパー付)を借り、帰宅。こんなありきたりな日本での生活を送っていて何を準備しようとするのだろうか。英国に到着して第一日目から地下鉄の切符の買い方が分からない、バスの乗り方が分からない、携帯電話の買い方が分からない、風邪薬が買えないそしてまず周りの英国人が何を喋っているのか分からないのだ。
留学の準備を100と考えれば、日本に居ながらにしてできることは全体の2-3割でしかなく、そんな暇とお金があったら早く渡英しろよというのが本音だ。早く渡英することのリスクは何も見当たらない。以前さんざっぱら準備に時間とお金をかけ、これで完璧だと自信満々渡英してきた女子学生がいた。
彼女が入学した英国の地方大学はコンビニもファミレスもない自然と静かさだけは誇れる環境の中、コースが始まった10月はすでに日本の季節で言えば冬のように寒くおまけに毎日毎日雨模様、まわりの英国人とのコミュニケーションもままならず、数少ない大して波長が会うとも思えない日本人との人間関係にも馴染めず結局彼女は1ヵ月後には逃げだすように帰国したのだった。一体彼女の準備ってなんだったんだろう??
このような準備コースが日本で繁盛しているとすれば、大学進学=まず受験対策といういかにも日本人的な常識がまったくそれとは異なる英国大学進学にも適用されているという矛盾に他ならないし、第一そんなに英国に行くのが怖いのだったら最初から留学なんてしなきゃいいのにと思うのだ。