ユニコン24時

金にまつわる話~授業料は不公平?~

2006.03.01

なに様コラム

イギリスの大学って授業料の面で不公平だという話をよく耳にする。英国人と日本人学生の授業料の差に関する文句
なのだが、この話には多くの誤解があるので本当の事を書きたい。

まず英国人だから授業料が安いというのはウソだ。
英国人だからではなく納税者だからといった方が真実に近い。では納税者だと誰でも安くなるかというとそうでもない。基本的に本人ないし父兄が大学入学日まで4年間継続して納税しているというのが原則といわれている。”言われている”とちょっとだけ曖昧な書き方になったのは、ケースバイケースで臨機応変に対応することで有名な英国の役所の判断が多分に加味されるので厳密にこれだと断定できないからだ。なんせ個人の状況や意見に耳を傾けることに
長けた英国社会はあらゆるケースに対して柔軟だし、一応のガイドラインはあっても多くの例外を許容する社会なので、役所であっても対応は同じなのだ。

英国の文化はさておき、この4年間継続して納税していることというルールに該当する学生であれば、国籍に関係なく国内学生の授業料(つまり安い授業料)が適用されるわけだ。英国人であっても長く香港に暮らしている人がその子供を英国内の大学に入学させた場合、やはりこの安い授業料は適用されない。納税者の授業料が安いことを分かりやすく説明すれば、彼らの払った税金の一部が大学の授業料の補助に充てられているということなのだ。

ちなみにイギリスの税金は高い。所得税は最低でも20%以上だし、それに社会保険料などを加味すると源泉で30%以上徴収される。それに住民税や17.5%という高率の付加価値税(日本の消費税に当たる)が加わる。つまり英国の就業者の税務負担は重く、収入の半分近くが国に納められていると言っても過言ではないかもしれない。
そんな多額の納税をしている者と一銭のお金も納めていない者の授業料が同じというのでは納税者側から見ればこんな不公平なことはなく、それこそ一揆が起きてもおかしくない。

また、日本人だから授業料が高いというのはウソで、納税していない留学生の授業料は同額である。韓国人、中国人、アメリカ人もすべて同じなのだ。ちなみに学生数で言えば高い授業料を払っている外国人の中で日本人は5ないし6番目でしかない。中国の物価からみれば英国大学の授業料はとてつもない金額だと思うが、中国人生徒の数は日本人の5倍もいる。

一方日本に来る留学生の授業料は日本人より安いばかりでなく、多くが日本政府から奨学金までもらっている。そうまでしないと留学生が来ない日本がおかしいと思うのだが、これが常識になっている日本人にとって、納税者への還元という至極まっとうな考えに基づき設定されている英国大学の授業料は、不公平だの差別だのということになってしまうようだ。

日本の常識は世界の非常識、残念!!

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