ユニコン24時

負けるな日本の高校生!

2005.02.01

なに様コラム

今年ロンドン大学の学部準備過程(ファウンデーション・コースという)に入学した学生は、東北地方の進学高校を卒業し日本の大学は受験せず留学して来た。日本の中でも保守的な色合いの強い地方都市で、おまけに進学校に通っていた彼女は聞けばこの英国留学という決断をするに当たりさまざまな抵抗を受けていたという。推薦入学で有名大学に進学する友人たちからは、そんなハンディとリスクを背負ってまで留学するのはバカだと言われるし、進学指導の先生は外国大学など出ても日本では認められないとか就職も覚束ないなどと脅された。その挙句、それでも外国大学に行きたいと主張しつづけると以後彼らは彼女をシカトしつづけたというのだ。

抵抗勢力でタチが悪いのは彼らは抵抗するだけでなく勢力まであるので、結構影響力が強いことだ。
特にこういった勢力に属する無見識な教師に堂々と自信に満ちたアドバイスをされると未熟で若い学生はひとたまりもない。挙句に高校の進学実績アップのために適当に進学させられて将来を台無しにされたのではたまらない。そんな学生が日本には山ほどいる。先日20年前に高校卒で留学し、ロンドン大学を卒業した学生の突然の訪問を受けた。彼の時代に留学といえばフルブライトや企業派遣などに代表される超エリートの留学か落ちこぼれのなれの果てかのどちらかだった。
今よりも遥かに一般の高校卒の留学に偏見が強かったそんな時代にただ一人父だけが彼の留学を後押ししてくれた。聞けば彼は現在大手の外銀で部長をしていてアジアを中心に飛び回っていて、機会があれば外国で新たなチャレンジをしてみたいという。そんなグローバルな自分の生き方を可能にしてくれた父の先見にいま彼は感謝している。

このところ英国の大学院に進学希望する学生(つまり日本の大卒)が増えている。ほとんどの学生はそのような抵抗勢力の口車に乗っかって日本の大学に入学し、成り行きで就職した経験がある。かれらは口を揃えて「何が無駄かといえば日本の大学に行ってしまった事が無駄だったし、もし高校卒業して英国大学に入学していれば今みたいに英語で苦労することはなかった。日本の高校の環境下ではとにかく日本の大学の進学しか選択の余地を与えられず、だれも海外大学進学など思いつかないのです。」という。そして「日本の大学に通い、ちょうど3年生くらいで就職や将来を考え始めた時、初めて自分には何の能力も自信もないことに気づき留学を考えるようになるのです」と続けるのだ。

先日東京で芸術大学の面接審査を実施した。その面接に福岡、大分、岡山、富山、山形などの地方から制服姿の高校生たちが飛行機や新幹線そして夜行バスで東京までやってきた。彼らは日本の抵抗勢力がどんなに目隠ししても自分の将来が見えてしまったのだ。よしあしは別として日本社会の足元にジワリジワリと押し寄せるグローバル化という怪物に自分の将来が飲み込まれるのが嫌なのだ。まだヨチヨチ歩きだけれど自分の足で未来を切り開こうとする彼らの勇気に心が動いた。負けるな日本の高校生!!

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