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2010年08月17日

学校に行ってみた
Chelsea College 小泉夏さん

          ●●●●● 学校に通いたくなる学校 ●●●●●


 今から約百年前、設立された土地の名をそのままいただいて学校名にしちゃったチェルシーカレッジ。2005年にテームズ河畔(Tate Britain隣)にお引っ越しとなったが名前はそのまま持ってきた。‘芸術家たちのカルチエ・ラタン’というチェルシー・スピリットと共に。
 チェルシー・カレッジ誕生の由縁は1851年に開催された「ロンドン万国博覧会」にまでさかのぼる。今も大盛況の「万博」のご先祖様である。産業革命でイケイケ状態の富にあふれた英国で開催された世界初の万博は世界中の話題をさらった(って世界史の教科書に書いてあった)。この万博に出展する作品を作るためチェルシー地域に作られたスタジオやワークショップに芸術家や職人たちが移り住み、やがて多くのアーティストや文人を魅了する芸術家の街として知られるようになる。アガサ・クリスティ、オスカーワイルド、ターナー、ロセッティなど時代を代表するキラ星たちがそうした風に惹かれてチェルシーの住人となった。
 そんな土壌を背景に1895年、South-Western Polytechnic(現チェルシー・カレッジの幼名)が設立され、Fine Art学科から多数のエリートが輩出されるようになる。ヘンリー・ムーア、アンソニー・カロ、アニッシュ・カプーア、ジュリアン・オピーと、言い出せば「あれもこれも」と枚挙にいとまがない。
 近年政治的で過激な作風が持て囃されてきた感がある中でチェルシーはいつの時代もチェルシーである。すなわち、品格がありながら主張に筋が通っている―「静かに語る」作品を作るタイプのアーティストを育ててきた。そういうおっとりした校風が、学生の間では「癒し系」として高く評価されている。今日ユニ調査員をガイドしてくれるナッちゃんは「チェルシーを一言で表現すると?」の問いに「学校に通いたくなる学校」と即答した。和やかな雰囲気で学校生活をエンジョイできるから、だそうです。



今日の随行ナビゲーター : 小泉夏さん(ナッちゃん)
CSMのオリエンテーション・コースを終了後、Chelsea Collegeのファンデに進学。居心地がいいので他のカレッジに行きたくないが、やりたい専攻がここにはないのでしぶしぶ旅立つことに。LCFのBA Fashion Accessoriesのオファーを持っている。


 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
目印はテートブリテン
地下鉄Victoria線のPimlico駅から徒歩5分のChelseaカレッジ。ひまな学生の身であればユニコン事務所前から出ているPimlico行きのバスに乗るのだが、忙しいオトナである調査員は時間短縮のために地下鉄Warren Street駅から出発。
Pimlico駅からは「Tate Britainはこちら」の標識に従って歩けば楽々到着だと思っていたのが間違いだった。不親切な英国の標識は矢印の方向が大雑把。お前が指してんのはどっちの道だ?
仕方なく動物的勘でエイヤッと路地に入ったら見事Tate Britainに遭遇。で、その隣にある時代物の庭つき豪邸風の建造物がチェルシー・カレッジなり。

 


向かって右がTate Britain、左がチェルシー・カレッジ。まさに隣人どうし。こんな素敵な公園もあるお上品エリア。

 


中庭で待ち合わせ
ナッちゃんとはチェルシーの美しい中庭で待ち合わせ。作業中の教室から出てきたナッちゃんのおしゃれなミニスカ姿に「まっ、かわいい服vでも作業で汚れるでしょ?」と早速よけいな心配をする調査員。でも、「えっ、そんなことないですう。チェルシーの女の子たちはみーんなこぎれいな格好してますもん」とナッちゃん、調査員のビンボー性をあっさり一蹴。ふーん、ウィンブルドン・カレッジに負けず劣らずお嬢が多いのね。


ところでこの中庭中央にある小さい正方形の芝生ゾーンがカレッジ随一の人気スポットとのこと。「ちょっと暖かくなるとここでランチしたりタバコを吸おうとする人間が集中するから、夏場は特に人でぎっしり。外から見るとそこだけ異常に人が集中して変な光景ですよ」


学食へGO
とりあえず恒例の腹ごしらえから、と学食に向かう道でナッちゃんのお友達に遭遇。ナッちゃんに負けず劣らず着飾った中国系の女の子たちだ。中国の血が流れているナッちゃんは彼女たちと中国語・英語交じりでキャッキャと会話。外国語ができるって便利だよね~。
「あの子たち、久しぶりに見たなぁ、全然学校来てないし。っていうか中国人は学校すぐサボるんだよね」とつぶやくナッちゃんと学食にイン。ランチにはまだ早い時間なのに活気があってけっこう人が多い。「ここがお気に入りスポットっていう人が多いのでいつも賑わっています」だって。人通りの多い一階の入口脇にあるので、スタジオやワークショップに行く前に「ちょっと寄っていこう」という人が多いのね。Eat and Goってわけね、なるほど。インテリア&空間デザインが強いチェルシーならではの策略的コンセプトか、というのは深読みし過ぎ?


 


学食メニュー
食堂もとてもモダン。日替わり定食のほかにサンドイッチやサラダも売っているが、金曜日の日替わり定食はFish and Chipsと決まっているそう。「けっこう美味しいですよ、全体的に味は濃い目ですが。かと思えば、塩が全然足りない日もあったりで、こんなテキトーなところがいかにもイギリスって感じです。私の一番のお気に入りは、何を隠そう今日のメニューのソーセージ&マッシュです。しかも今日は早く来たからか、いつもよりも量が多めでラッキー!逆に一番嫌いなのは羊系です。臭いんだもん。他にはBreakfast Paniniっていうのがあって(お昼にも買えるのになぜかBreakfastという名前がついてる)それもおいしいです」って。ふむふむ。けっこう豊かな食生活を送っているのね。


 

という次第で本日のチョイスは二人揃ってソーセージ&マッシュ。


何人(なにじん)でもフレンドリー
食事中いろんな人達が「ハァイ、Natsu~」と声をかけてきます。顔が広いのね。しかもその中にはちゃんと地元のイギリス人学生も含まれていて、これは他カレッジのファンデではあまり見ない現象。ナッちゃんによると、「チェルシー・ファンデの学生はセントマと比べて全体的に若め。そして絶対にロンドン芸大で一番フレンドリー。意外に中国人が多いけれど、ほとんどが小さいうちにイギリスのボーディング・スクール(寄宿制学校)に送られてきた子だから中身はそんなに‘中国人的’じゃない。ちらほらいる日本人も海外育ちとかハーフとかが多い。ケニアで育った子もいるし。私たちユニ学生みたいに日本から直送ってのは意外と少数派だね」。この分析ぶり、ナッちゃん、キミは将来立派な評論家になれるよ。


スタジオ巡り
詰めるだけ詰め込んで(腹に)スタジオお遍路の旅へ。校舎の外観は年代物だが改装したての内部はがっつりモダンです。スタジオはファインアート、ビジュアルコミュニケーション、ファッション&テキスタイル、それにナッちゃんの所属する3Dスペーシャルの4つに分かれています。食堂から一番近いファイン・アートのスタジオからどうぞ。


 


2番目はビジュアル・コミュニケーションのスタジオ。来年グラフィック・デザインやイラストレーション学部に進みたい学生が集まっています。
ちなみに壁に貼ってあるさまざまな紙は、学生それぞれの作品の進み具合やプレゼンテーション・ボードを公開するためのもの。こんなアイデアが学生とチューターがお互いに遠慮なく意見を出し合える仕組みを提供しているのですね。


お次はナッちゃんの3Dスペーシャルのスタジオへ。別校舎にあるのでいったん外に出て庭を渡らなくてはいけません。雨の日は面倒ね。途中のテラスには作りかけの彫刻や大きい木材が置いてあっていかにも美大。手前にとめてあるチャリ通学生の自転車までもが絵になるぅ。


と、隣を歩いていたナッちゃんが突如挙動不審に。「あっちから歩いてくる、あの人たちっ、うちのファンデの先生なんですよ。男の先生はいいんだけど、あの女の先生が怖いの。目が合わないようにしたいっ」ふーん、キミにも怖いモノがあったのか。


着きました。裏のドアから入ると地下に入る構造になっていてそこは各種ワークショップがぎっしり。ものものしい装置やうっかり触ると暴走しそうな機械が部屋の外に置いてあります。


目の前の階段を上ってにお邪魔しまーす。現在進行中のジュエリー作品のパーツを入れた箱も見せてもらいました。
 
 
 

学部生、大学院生のファイン・アート用スタジオはこの校舎に同居しているそうで、廊下にはただいま乾燥中の大判ペインティングが置いてありました。

なごみの空間
もとの校舎に戻って図書館をチェック。ふんだんに光が差し込む館内にはたくさんの雑誌が置いてあり学生の和みのスペースになっているそうです。「ファイン・アートとインテリアとテキスタイルの蔵書は豊かですがジュエリー系は貧弱です。なので、ジュエリー系が必要なときはセントマかLCFの図書館に行きます。リサーチは今でもオリエンテーション時代に習った方法でやっています」

 


カレッジショップ
次は学食の向かいにあるカレッジショップを拝見。やはり市場価格よりも安く画材が買えるのね。ちなみにチェルシーのカレッジショップは学外の一般人でもお買いものOKなんです。


お邪魔しました
というわけで、ここらでナッちゃんとお別れ。きょうはどうもありがとう。「どういたしまして。また来てくださいね。雰囲気いいでしょ、チェルシーって。ほんとに居心地がいいんですよね。みんなフレンドリーで学校楽しいし。私、生まれてから一度も学校が楽しいって思ったことなかったけど、チェルシーに来てはじめてそう思ったの。ここは一言でいえば‘学校に来たくなる学校’なんです」

学校に来たくなる学校か。学校って普通は行きたくないところ、サボるべきところの代名詞だよね。寮生活も楽しいようでほんとによかった。若い学生が育ってゆく姿を目のあたりにして調査員の目頭が思わず熱く。


おまけ・地味な正面玄関
食堂とカレッジショップの間にある通路から続く出入り口から外に出ると、こういう看板が立っていました。そうか、ここが正門だったのか。広々した中庭が目立ちすぎて気付かなかったよ。

投稿者 unicon : 19:41

2010年06月18日

学校に行ってみた
UCL Language Centre 中村由希さん

    ●●●●● 何を言っても自慢にしかならないの。困っちゃう ●●●●●


言わずと知れたロンドン大学の母体校、University College London。UCLという略称で親しまれるこの大学は、いつだって英国大学ランキングのTop5のどこかに鎮座。Timesの09年度世界大学ランキングではなんと第4位にノミネートされるなど、その勢いは飛ぶ鳥を落として余りあるほど。さすがにこの世界4位の格付けには「ちょっとそこまではねぇ~、買いかぶりすぎじゃないの?」と思ったユニコンだったが、この勝ち組ぶりを見ているとまんざらその評価、当たらずしも遠からず? 毛並みよし(歴史がある)、立地よしと来たらタカビーになるのが世の常だが、そこんとこUCLは賢かった。黙っていても入学志願の留学生が世界中からやってくるというのに、お客様(学生)のためのサービスを怠らず上手におもてなし。開校以来積極的に留学生を世界中から受け入れてきた学内文化を生かし、「London’s Global University」としての地位を揺るがぬものにしたのだから。 そんなUCLの設立したランゲージ・センターには、今日も世界各国のエリート候補たちが集まる。官庁や国の公費留学生として渡英の第一歩をここから始める学生も少なくない。日本からの学生はほとんどがフツウのヒトだが、周りの雰囲気に触発されてけっこうな数の学生がよく勉強するようになる。やっぱり環境の力って大きいのね。



今日の随行ナビゲーター : 中村由希さん
Wimbledon Collegeでアート・ファウンデーションを終えて学部のオファーをゲットするも、アカデミック英語学習の必要性を実感。学部入学を1年遅らせ、現在UCLランゲージ・センターで勉強中。


 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
本屋さんで待ち合わせ
ユニコン事務所から徒歩10分圏内にすべてのキャンパスが点在するUCL。ちょっくら歩いて出かけるだけなので調査員も今回は気が楽だわ。由希さんにどこで待ち合わせたいか聞くと、「その日の朝の授業はGordon Squareの校舎なんで、角のWaterstone’sでどうですか?」って。本屋さんの前で待ち合わせなんて、出だしからアカデミックな雰囲気ね。無事由希さんと合流し、道を渡ってUCLの敷地へ突入。腹が減ってはなんとやら、さっそく二人でキャンティーンを目指しました。

おしゃれなカフェとかわいいUCLベア
かれこれ十ウン年前の若かりし頃、UCLのキャンパスを使って行われていた夏の英語コースに参加したことのあるユニ調査員、実はUCLのキャンパスにはちょっとだけ馴染みがあったりして。・・・とはいえ久々に行ってみてびっくり、超モダンになってるぅ~。キャンパスのあちこちにカフェができ、ガラス張りの建物が増えてすっかり明るい雰囲気になっていました。そりゃ十ウン年だもんね。メインのキャンティーンに入る手前にある売店に寄ると、かわいいUCLベアが売っていたので記念撮影。ぬいぐるみのくせに妙に頭がよさそう。
 


チョイスがありすぎる!超幅広メニュー
学食へ入ってびっくり、その昔は小汚いカウンターに芋!にんじん!豆!などなど「ザ・イギリス!」という食材が積んであるだけだったのに、スナックを売る売店を含め、サンドイッチ、ピザからカレーまでいろいろなコーナーがあってよりどりみどり。目がチカチカして何を選んでいいかわからなかったので(情けない)、由希さんに完全にすがってチョイスをお任せしました。結局二人で「今日のノンベジ(肉または魚)」の列に並び、日替わりメニューをゲット。チキンカツみたいなものがご飯とサラダの上にのってる。うっ、うまそうではないか。さすが、お客様(学生)を大切にするUCL。
 

   

腹ごしらえ
ちょうどお昼時に当たってしまったため、激混みの学食でなんとか席にありつきました。いっただっきまーす。由希さんに普段のメニューの様子を聞くと、「たいていいつもおいしいですよ、ここは」とのこと。うらやましや。「でも実は、UCLの劇場の横にある学生組合のカフェが個人的には一番のお気に入りです。ここよりちょっと高いんですけどね。あそこのパニーニは最高なんですよ」だって。よし、次の取材のときはそこにしよう。それにしても、はっきり言ってこの日食べたUCL学食飯はかなりおいしかった。「ただ、UCLのメニューはちょっと量がお上品ですよね。これだけじゃイマイチおなかいっぱいにならないから、ついついデザートも買っちゃう~」ってはいはい、おねだりが上手ね。ちゃんとケーキも御馳走しますよ・・・と由希さんの目線の先を追うと、Costa Coffee(スタバに似たコーヒーチェーン)のブースが。学食内にこんな店まで入ってるのね。
 

   

ベンサム先生のお言葉
お昼を食べ終わり、いざ学内ツアーへ出陣、と歩き始めたところ、右手に「Jeremy Bentham Room」と書いてある怪しげな入口を発見。これ何だろうね、とドアを押してみたら開いたので二人で思わず闖入しました。階段を上ると、上のフロアが隠れた自習スペースになっていて、学生たちが静か~~に勉強していました。大学院生かな?あまりお邪魔するのも悪いので、そのまま校舎内を通り抜けようとしたら、廊下にUCLの創立者Jeremy Bentham大先生の有名なお言葉「最大多数の最大幸福」が刻まれていたのでありがたく撮影してきました。この廊下に続くドアをあけると、こんな階段が。ここは美術館ですか?
 
   

図書館へ「ご免くださぁい」
続いて、この階段を右に出たところにある図書館へ・・・と思ったところ、セキュリティが超厳重で入れない!カードを持った学生本人でないと入室できないハイテクシステムが導入されていたので、調査員は入口で待機し、由希さんにお願いして中の写真を撮ってきてもらいました。中に大理石の彫刻まで置いてあるハリポタばりの図書館ですが、数えきれないほどある脇の通路にはモダンな蔵書もぎっしり。それにしてもたくさんの学生が真っ昼間から勉強しています。
 

   

彫刻、そしてミイラ!
図書館から出てきた由希さんと再び合流し、さらに校舎内を探検。ところどころにこういう「いかにも偉い人」の彫刻が並んでいます。そして・・・

出ました、UCL名物「ベンサム・ミイラ」!!私も実物は初めて見ました。世を去った後も大学の会議に出席するため(が一番の目的だったかは知らないが)、自分の体を永久保存するよう遺言を残したという彼のミイラがこれ。頭を除いてモノホンです(ってことはミイラの手が見えちゃうかも?!と近づいたら、ちゃっかり手袋がはまっていた)。諸経緯あって頭は別のところに保存してあるらしい。そのいきさつはユニコンのUCLマニュアルをご参照あれ。

彼の鎮座する箱の脇には彼の哲学を紹介したショーケースがあり、「ベンサムの哲学はいろんな言語に翻訳されています」と書いてある。見ると日本語の本も!
 
 
いつもベンサム先生が箱の中から眺めている景色も撮影。


古めかしい大教室
続いて、由希さんが一番気に入っているLecture Theatre(講義用の大教室)に案内してもらいました。教壇の大スクリーンだけが妙に浮く年代物の教室でした。こういう教室で授業を受けたらご利益ありそう?
 

   

インターナショナル・オフィス
同じ校舎内にあるインターナショナル・オフィスのドアも一応見学。留学生の駆け込み寺です。「すぐ閉まっちゃうけど、開いてる時間にくればちゃんと親切にしてくれます」とのこと。

  
絵になりすぎる正面玄関
別の校舎に移動するため、正面玄関の中庭に出ました。どう撮っても絵になりすぎて困るのよね。
 

   

アートの殿堂、Sladeに潜入
英国でファイン・アートといえば、のUCL美術学科Slade Schoolにも潜入してきました。正面玄関の左脇にあるこぢんまりした建物です。入ってすぐにどどーんと階段があり、その右側にスクール・オフィスのドアがあります。由希さんも「こういうアート・カレッジの雰囲気、久しぶり~」とご満悦。
 

上に上がるとこんなかんじ。この建物の中だけは全く他と雰囲気が違います。
 
   

建築学科Bartlett
アートも見たから建築も見ておくか、とこちらも名門の建築学科Bartlett Schoolの建物にも行ってみることに。いったんメイン・キャンパスの敷地内を出て歩くこと数分、わかりにくい場所に地味~に建っていました。入口のドアから中をのぞいてみたところで小雨が降ってきたので、本降りになる前にツアーを終了しないと面倒なことになるよね、ということで内部調査はパス。
 


ランゲージ・センター
締めくくりに、ランゲージ・センターとGeography Department(地理学部)が共同で使っている校舎にもお邪魔しました。ここもセキュリティのゲートがしっかりついています。入ってすぐ左の教室では、ちょうど授業が終わった学生たちが遊びの計画のために集まっていました。皆仲がよさそうでいいね、と由希さんに話を振ると、「そう、和気あいあいなんですよ。一部アラブ系の男子学生とは価値観が全く合わないのでつきあわないですけど、あとは皆よく勉強するいい子たちがほとんどです。学生のメンツはかなり豪華で、なんとか国の大臣の娘とか、どことか国の官僚とか、そんなのがたくさんいてびっくりします。貧乏な国だと思ってたところから来てる人たちがみんな超リッチなんですよね。価値観変わりました」と。
 

 
食に始まり、食に終わる
ランゲージ・センターには食堂こそないものの、軽食の買えるカフェは併設されているとのことで偵察に行きました。ドアに貼ってあるメニューを見ると、簡単なサンドイッチやお茶が提供されているようです。由希さんいわく「おいしくもまずくもない、普通のカフェです」とのこと。ドアを開けてみると、閉店間際だったので閑散としていましたが、こざっぱりした室内にまだチラホラと教授や学生の姿がありました。こうしてキャンティーンに始まりカフェに終わる、食い意地を前面に押し出したツアーが無事終了したのでした。
 

     


●おまけ●
キャンパス・マップ
ちなみに、探察の途中で撮ったUCLのキャンパス・マップもご紹介します。オレンジ色の部分がUCLの校舎です。公道を挟んでキャンパスが地域一体に広がっていて、いかにも「ロンドン大学」といった雰囲気でしょう?

投稿者 unicon : 12:15

2010年04月29日

学校に行ってみた
Wimbledon 高村千紗さん

きょうの探訪スポット: Wimbledon College of Art
     

     ●●●●● お嬢のカレッジ、Wimbledon College ●●●●●


ゴッホが猟銃自殺を遂げ、エゴン・シーレが生まれた1890年、ロンドン南東部ウィンブルドンの男子校で美術専門のクラスが新設された。Wimbledon College of Artの誕生である。やがて大看板となるシアター学部は1932年に設立され、英国のシアター・デザイン教育の草分けとなった。以来、ファインアートとシアターに強い学校として地元に密着した発展を続け、ロンドン芸大を除けば「ロンドン市内に唯一残る(まともな)アート・スクール」と謳われたWimbledonであったが、2006年、とうとうロンドン芸大の傘下に入ることになった。と書くとちょっと哀しいエンディングのように錯覚するが、手薄だったシアター部門を強化できたロンドン芸大と、ロンドン芸大のメンバーとして知名度を大幅アップできたWimbledonの両者にとってこの『結婚』の意義とメリットは計り知れない。 メンバー入りしてからまだ4年、現在も近隣の、いわゆるミドルクラスのお嬢さんたちがカレッジの主流を占めていて留学生の数もそれほど多くないため、学校の中は白銀の世界、じゃなくて白人の世界。日本人にはまだ馴染みの薄いカレッジだが、留学生が少ない分、超手厚い看護(ケア)が受けられるところが大きな魅力である。「ここのぬるま湯に浸かるともう他には行けない」とは過去のユニ学生の言。校舎はロンドン有数の高級住宅地にあるが、環境に厳しいPTAの目が注がれるうら若き女子学生に特にすすめたいカレッジである。



今日の随行ナビゲーター : 高村千紗さん

 
 
一路、南へ
このところ悪天続きだったので天気のいい日を狙ってWimbledon 訪問を企てたユニ調査員、ユニコン事務所最寄りの Tottenham Court Road 駅からWaterloo駅で下車し、Surbiton行きの電車に乗り換えます。電車はテームズを越え一路南へ。30分後にはWimbledon駅に到着しました。
改札で本日のナビゲーターを務めてくれる千紗さんを待つ間に持参したデジカメで駅周辺の風景を激写。夏のテニスマッチが有名なウィンブルドンはロンドン有数の緑豊かな高級住宅地、そのせいか道ゆくおばさま達の装いがなかなかリッチ。


 
 


ファウンデーション専用校舎に向かう
やがて現れた千紗さんといっしょにファウンデーション専用校舎に向かいます(メイン・キャンパスとファウンデーション専用校舎は別々)。「Wimbledonといえばかわいいお店とカフェと豪邸のオンパレードでしょう?!と鼻息荒い調査員に「ええ、でもそれは丘の上の隔離された別世界で、学校はその反対側の庶民的なエリアにあるんですよ。あちらに行くのはよほど用事のあるときだけど、確かにすんごい大豪邸がずらーっと並んでて、お散歩するだけでも楽しいですよ」 高級地という単語にめっぽう弱いユニ調査員、千紗さんのコメントに想像が膨らむが、千紗さんも授業が忙しい身、そっち方面の探索は今日のところは断念じゃ。


ファウンデーション専用校舎は駅から歩いて15分くらい。キャンティーン(学食)のあるメイン・キャンパスとはちょっと離れているので普段のランチはお弁当やサンドイッチで済ませているそうです。ならば、と、「たまにアジアンなものが食べたくなったときに寄り道して買っちゃう」という千紗さんお勧めのタイ料理屋さんに寄り、ランチをテイクアウェイすることにしました。ランチ片手に歩く通学路の周囲にはのどかな住宅地風景が広がっています。

到着
住宅街のなかに突然出現した校舎は地味めでこぢんまりした建物。「暖かくなるとここはスモーカーでぎっしりです」という校舎脇のベンチはこのところの寒さのせいでまだ閑散としていました。



 
 
 
 
 

お邪魔しま~す
扉を開けるとこんな感じ。この奥は各種ワークショップで自動販売機が鎮座しています。この自動販売機のお菓子とジュースが学生たちの小腹を満たしているそう。

階段を上ってスタジオへ。スタジオはファッション、シアター、ファインアートなど科目別に分かれています。PCルームもあります。廊下には乾かしている途中の作品や、誰かが遊びで作って飾った蝶々などがちらほら。


貴重な同胞
千紗さんは一番人気のシアター専攻向きファウンデーションに属していて、総勢は60人くらい。日本人は千紗さんを入れて2人だけ。スタジオに行くとそのもう一人の日本人学生・マリさんに遭遇しました。ここでは貴重な同郷仲間です。あの課題っていつまでだっけ、面接の日程案内来た?などひとしきり情報交換が行われる横で彼女たちのスタジオの様子を撮影。


 

 


ここでチューターが「出席を取るよ~」と入ってきたので調査員は一時退散。「先生にユニ調査員さんのことは説明してあります。ぜひいろいろ案内してあげなさいって歓迎ムードでしたよ。出欠を取った後は自主学習なのでメイン・キャンパスにご案内しますね。」と言う千紗さんの言葉に甘えてしばし教室の外で待つことにしました。

アットホーム&フレンドリー
出欠を済ませた千紗さんと校舎内を歩いていると、すれ違う先生たちが次々に「やあ、元気かい?」と声をかけてきます。ほんとにフレンドリーだね、と調査員が言うと「本当にそうなんです。さっきすれ違った先生はファインアート担当だから私とは全然関係ないのに、こないだなんか ‘君、第一志望はどこにしたの?準備は進んでる?’って突然話しかけてきてくれて。みんなが顔見知りみたいな感じで、なんか大きな家族に近い雰囲気ですね」

メイン・キャンパスへ出陣
「一度入ってみたいと思いながら、まだ行ったことがない」というかわいいカフェの脇を通り過ぎてメイン・キャンパスに向かいます。キャンパス移動というよりはお散歩コースを歩いているみたい。ロンドンなのに田舎のようなほのぼの風景を楽しめるのは、UALの中でもウィンブルドン学生だけの特権でしょう。
 


 

大きな公園の脇を歩いているとメイン・キャンパスが見えてきました。ここまで徒歩20分弱。



やる気無さ過ぎだろ、カレッジ・ショップ!
千紗さんの本の返却に付き合うために図書館に向かいます。途中にカレッジ・ショップ(画材の売店)があった…が、なんだか中が暗い?「ここ、すぐ閉まっちゃうんです。ランチ時にはもうクローズです。不便ですよね」って、それってやる気なさすぎだよ。

  
 
 
 
 
 
 
 
  
シアター関連書の充実した図書館
2フロアにまたがる図書館はコンパクトながらも本がぎっしり。「やっぱりシアター関係の本はここが充実しています。セントマの図書館にもありますが、こちらのほうが豊富じゃないかな」とのこと。学生の作品を展示する小さなショーケースもあります。
  


 
 

モダンなキャンティーン
本を返却してキャンティーンへ。外観も中身もモダンです。ビリヤード台やソファ、学生の作品などもあり、普通の学食とはちょっと違った雰囲気。ランチタイムのピークを過ぎていたので適当な場所にゆっくり席を取り持参のランチを広げました。これはなかなか美味しそう。


 
 

飛び入りランチタイム
いっただきま…と大口を開けたところで、「あらっ?!ユニ調査員さん?」という声が。振り向くと、MA Fine Artコースで勉強中の愛子さんが!まあ奇遇、ということで急遽愛子さんも交えたランチタイムになりました。

キャンティーン査定
キャンティーンの常連である愛子さんにメニューの感想を聞いてみました。「日によっては結構おいしいですよ。メニューは二つしかないけど、ベジタリアンかそうじゃないか、っていう。ま、何といっても安いしね」「ただね、水飲むときになぜか紙コップを買わなきゃいけないの。だから学生はみんな自分のマグとかグラスを持ってきてますよ」とのこと。ふ~ん、変わったシステムね。でも環境保護にはいいのでしょう。

(大学院生のスタジオにも)お邪魔しま~す
この際なので愛子さんにお願いしてキャンティーンのすぐ隣にある大学院生専用のスタジオも見学させてもらうことにしました。「他のカレッジと違って一人一人のスペースが広いことがいいところ。でも、自室でちょっと引きこもり制作しているとその隙に必ず他人に侵入されてしまうので、スタジオの机には名前を貼っておき、定期的にスタジオに来て自分の場所をキープることが重要です。みんなそれなりにフレンドリーだけど、日本人は私しかいないし、ウィンブルドンのMAはアカデミック性が強いから、こう見えても私、結構必死ですよ」
がんばれ、愛子さん。


 
 


 
 

インターナショナル・オフィスを突撃
探索終了前にインターナショナル・オフィスに立ち寄りました。留学生がお世話になるところです。ドアを開け放してある入口で「はろー」と声をかけると、ユニコン東京での面接でもおなじみの国際部長Wendyと右腕秘書のSusanneが出迎えてくれました。すぐに椅子を進めてくれ、いそいそと私たち3人にお茶を作ってくれる歓迎ぶり。意外にこまめな人だったのね。お二人の写真を撮っていいかしら?と聞くと「いいわよン、てゆーか、写真撮るって知っていたらオシャレしてきたのにぃ」と言いながらも二人並んでポーズしてくれました。「だったらこれも撮って撮って。やっぱり私たちの本性を知ってもらわなきゃ始まらないしね」と指さす先には、ずらりと並べたパイントグラス(ビールの大ジョッキ)の前でなぜかビクトリー・ポーズを決めるWendyの写真が…スコットランド出身だったのね。


メッセージFrom Wendy
将来の留学生に一言メッセージをぷりーず、とお願いするとこんなメッセージをくれました。
「ウィンブルドンは確かにチョット都心から遠いけど、スタッフも学生も敢えてわざわざここを選んで通ってくるのよ。それにはそれだけの理由と価値があるからだと私たちは自負しているわ。日本からの留学生は少ないけれど、彼らが寂しい思いをしないように私たちがしっかりケアするわ。英語をしっかり勉強して、私たちの学校に来てちょうだいね!」


(2010年3月訪問)

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2010年04月15日

学校に行ってみた
Byam Shaw 吉澤彩さん

きょうの探訪スポット: Byam Shaw School
     

    ●●●●● Baym Shaw School、もう一つのセントマ ●●●●●


ファイン・アーツの名門校として由緒ある歴史を持ちながら時代の波には逆らえず、2003年セントラル・セイント・マーチンズに吸収合併される。この状態を英語で表現すれば「a part of CSM」。日本語ならば、「CSM傘下」「CSM連合メンバー」とでも表現すべきだろう。例えるならば、わけ(運営合理化)あって、千都魔家(セントマ家)に養子として迎え入れられた梅夜夢家(バイヤム家)の血筋を継ぐ者、というところか。
ではセントマ本体と何がどう違うのか?
まず、校舎が違います。元々ロンドン北の高級住宅地にあったByam Shaw School旧来のこじんまりした校舎をそのまま使っています。次は学生数。たとえばファウンデーションの学生数は全部で百人ちょっととかなり少なめ(セントマ本体は650人)。 そして学習の重点の置き方。Byam Shawのファウンデーションはファイン・アーツと建築デザインの2専科から選ぶことができますが、本体のファウンデーションに比べてより専門化されており、学部の授業内容もファイン・アーツにより深く重点を置いていると考えられています。もちろん、ここでファウンデーションを終えた後、セントマ本体やUALの別カレッジの学部に進むのに何のハンディキャップもありません。
また、血は繋がっていなくても法的には千都魔ファミリーの一員ですから、卒業証書は本体と同じ記載〈CSM卒〉。ならば、「ファイン・アーツを専門とする小さな学校」という創立時の理念を今なお揺るがず貫いているバイヤム家で留学最初の大切な1年を過ごすのって、むしろメリット?
ここの情報は意外なくらい海外に流出していないので(他カレッジにはどっさりいる)中国人学生もこのキャンパスで姿を見かけることはほとんどありません。
環境と留学生に優しい秘密の花園、Another CSM(もうひとつのセントマ)好感度良好です。



今日の随行ナビゲーター : 吉澤彩さん
吉澤さんは2008年9月にByam Shawのファウンデーション・コースに入学。
2009年9月にWimbledonカレッジのBA Fine Artに進学、現在学部1年生。

 
 
 
 
 



 
 
 

工具店。Makitaって…<br>日本人の名前?(違うか)
Archway駅 (Northern Line)に降りれば
 真冬にしては暖かな12月のある日、ユニ記者は地下鉄Archway駅で彩さんと待ち合わせ。学校まで徒歩わずか2分の距離だが、駅を出てすぐに眼につくのがMAKITA工具店。「ここでよく作業に必要なツールを買うんですよ。授業中にあれ買ってこい!と先生に突然言われるたびに皆でぞろぞろ行く、みたいなことがよくありました」。
Holloway Roadというその道にはいろんなお店が並んでいる。特にペンキ屋さんとSainsbury’s (スーパー)は学生の勉強とお腹を満たす大事な役割を果たしているそう。


校舎入口のドア。鉄のドアは搬入用で、中庭に続いている。
わりと地味な正面入り口
Holloway Roadを左に一本入るとすぐに校舎が見えた。ぱっと見は平凡地味な建物、というか日本の学校に近い感じ?この校舎はファンデーションと大学院専用で、学部生は別のもっと大きな校舎にいるとのこと。


入口すぐに貼ってある全学生の写真。ここでのイケメン・美女査定は学生生活の基本らしい。
ごめんくださ~い
入口横の機械に学生証を通すとガラス張りになっているドアの鍵が解除されるので、そのままぐっと押して中に入ります。入るなり目に飛び込むのが在校生の写真が貼ってある掲示板と、学生たちが座り込んで何やら熱く議論しているソファセット。ソファ横の窓からは中庭が見えます。左手に受け付け、その脇にちんまりしたライブラリーがあります。


窓から中庭を臨む。向い側は学食。窓の脇のリンゴは腐っているのではなく、誰かの作品。
How kind!
 ところで、UALカレッジでは週に一度、留学生対象に英語のサポート授業を行っている。その英語サポート授業だが、何とByam Shawでは個人レッスン制を取っていると云うのだ! メールで予約すると、20~30分程度の個人レッスンをしてくれるっていうのよ。会話の練習や美術館に行ったときの記録の見直しやエッセイ添削など、個人の需要に合わせた内容のレッスンで、時間帯も午後6時半や7時など遅くまでアレンジ可能だそう。学生へのケアが手抜きっていうか手薄になりがちなUALにあってこれは特筆すべき特典ですね。


あまりの殺気にカメラを向けること叶わず。
廊下でCrit
校舎を奥へまっすぐ進むとレクチャールームやドローイングのスタジオへと続くのですが、そちらの方向を見ると、廊下に何やらピリピリした雰囲気が漂っている・・・?近づいてみると、廊下で授業、しかも作品の講評(通称Crit)をやっていました。廊下で授業というのは英国の美大ではめずらしくないものの、Critまでやるというのは稀。この先のツアーを敢行するにはこの脇を通り抜けねばらないのだが・・・?!どうにも憚られて二人でしばらく遠巻きにしていましたが、神経の太い学生が堂々と通り抜けるのにくっついてそそくさと通過しました。


「DRAWING」の文字のついたドアを開けると…
ドローイングに埋もれて 
大講義室の前を抜けてドローイング・ルームへ。Byam Shawのファウンデーションはとにかくドローイングに力を入れているので、彩さんにとっても思い出深い部屋。毎週水曜にはモデルが来て、そのまわりで学生はひたすらドローイング。
この日はミュージアムに行ってドローイングするグループと、ここのスタジオに残ってドローイングするグループに分かれての授業が行われていましたが、それにしても何かギューギュー詰めで窮屈なんじゃない?   

 彩さんも当時そう思ったそうですが、「心配しなくてもそのうち人が減って十分なスペースができるわよ」と言う先生の?な反応。最初は不思議に思っていた彩さんも、クリスマスを過ぎたころには「なるほど。そういえば、最近見ないなぁって子が増えていたもんね」と納得。「最終的には、4割くらいの学生がコース半ばで消えていましたね」

専用のドローイングルームが。照明のほかに、自然光が採れるよう天窓もついています。
「懐かしいなぁ」と言いながらドアを閉め、さらに奥に進みます。突き当たりは大学院生用のスタジオになっていますが、さらに先に彫刻のスタジオや各種ワークショップ(工房)があるので、いろいろな人が自由に出入りしています。私たちも、作業中の大学院生の脇を通り抜け、先に続くドアを開けます。
 

禁煙?イギリスはどこでも屋内全面禁煙なんだけど… あれ、外に出ちゃった??
上の写真を見て疑問に思ったでしょ?実は、スカルプチャーのスタジオは屋外になっているのです。スタジオというよりは屋根がついた作業場?「私はここ、意外と好きでした。冬は寒いけど、雨の日はクレイ(粘土)が乾かないんでちょうどいいんですよ」と彩さん。単なる安普請ではなく、実はイギリスの気候を利用した計算高いスタジオってこと?! 「クレイは手前の屋外スペースで、メタルやプラスターはその先の屋内ワークショップで制作します。そのさらに奥に焼き物のできる窯があるらしいですが、私は使う機会がなかったのでわかりません」

制作途中の作品たち



お味、拝見?
また校舎内に戻り、ここでGround Floor
(日本でいう1階)のツアーを終了。お昼になったので私たちもランチを取ることにしました。


石のサンドイッチ
キャンティーン(学食)はこぢんまりとして可愛いのだが、メニューがね。「たまにはちゃんと調理されたものも出るんですけれど、たいがいは石のように硬いデカいだけのサンドイッチがメインです」
ここまで聞いてわざわざ石サンドに挑戦する馬鹿がいるだろうか?「近所にイチ押しのパン屋さんがあるから試してみませんか?」という彩さんの素晴らしい提案に乗ることにしました。

Byam Shaw版‘安田講堂炎上?’(籠城事件)
ちなみに1年ちょっと前にCSMで授業数と教員数を減らすという出来事があったのですが、そのときByam Shawでは憤ったMAの学生たちがストを決行。そのとき彼らが占拠して本拠地にしたのがこのキャンティーンで、彼らは食糧などを持ち込み1週間くらい座り込みを続けたのでレクチャーに支障が出て騒ぎになったという。その割にどうやって収拾したのかは不明のままというのがちょっと気になります。へー、この学食がUALの安田講堂になったんだ?(って、こんな1969年の昔話、誰もわからない?)


店とおかみさん

街を散策
パン屋を目指して彩さんと街中へ。その人気のパン屋さんまでは歩いて4~5分。同じ通りにはWood Worksという材木店があり、ここも学生御用達です。

 「ここです」というパン屋さんはトルコ系のお店で、入口脇で民族衣装を着たメガネのおかみさんが薄いピザ生地のようなものを次から次へと焼きまくっています。
今日の昼食。これはおいしかった!クリスマスということで、こんなかわいいケーキ(?)も売っていました。
「友達とたまたまここを通りかかって、あれおいしそう~!って入ったのがきっかけなんです」というお昼時の店内は地元の人で混み合っていました。トルコ系の総菜パンや甘~~い菓子パン類のほかに、普通のイギリスふうのケーキやパンも売っています。目移りした挙句、結局「これははずれない」という、ラム肉入りピザソースを塗った薄い生地でサラダを包んだトルコ風ラップサンドと、いかにも甘そうな菓子パン類を買ってキャンティーンに戻りました。



夢追いウサギ ~梅夜夢家こぼれ話~
Byamキャンパスの壁にこんなウサちゃんを発見。随行員に聞くと、これはByam学生の間では有名なウサちゃんらしい。
何代か前の学生が描いたというこのウサちゃんを追って校舎を歩いて行くと、衝撃の結末が・・・!というドラマ仕立ての落書きらしい。なんともユーモアがあってグッド。子供のころにやった「ウォーリーを探せ」を思い出す?



 
 
 
 
 
 
 
再び、キャンティーンで
学食で思う存分煮詰まったコーヒーを買いテーブルに落ち着いたころは学食のピーク時。それにしても学生たちが老けている…いくら外人とは云え、これはどう見てもファンデ学生たちではないだろう。BAにしても老け過ぎだし、MA学生かしらん?

学校の近所には工具店、ペンキ屋、木材店は揃っているが画材屋がないのでCASS-ARTとかまで買いに行かなくてはいけないのがちょっと不便だそうです。「私は下宿先の近所の小さい画材屋に朝寄ってから来る、とかしていましたけど。大きい画材屋というとセンターまで出ないといけないですね」

随行員から最後にひとこと
私の留学は、母親の勧めがきっかけですが来て本当によかったなと思います。「パンキョー」的なものがないので、好きなことだけできて楽しいです。これからロンドンに行きたいなと思ってる方々に少しでも私の母校の雰囲気をお伝えできていればうれしいです!

今日の探訪ルート

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Byam Shawの簡単歴史 1910年、ロンドン大学King’s Collegeで共に教鞭をとっていたJohn Byam ShawとRex Vicat Coleの二人のアーティストが、自分たちでドローイングとペインティングのための学校を開く決意をしたのが始まり。Johnの作品 「The Women The Man The Serpent」が切手の絵柄に採用された経歴もあり、ラファエル前派に影響を受けて若いうちにアーティストとして成功した彼らだが、年齢を重ねるにつれてだんだん評価も収入も先細りになってくる。そこで食いぶちを稼ぐために教職についていたのだが… 大英帝国統治下のインドで裕福な英国人家庭に生まれたJohnとイートン校で教育を受けたRex。トラディショナルな性格を色濃く残す環境で育った二人が設立した学校は、「高い技術と教養に裏打ちされた確かな芸術作品を」という教育理念を持っていた。卒業生にはダイソン掃除機の創始者James Dysonをはじめ、英国の教育テレビ番組で活躍する美術評論家Matthew Collingsなどがいる。

 

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