2013年04月11日
【コース体験記】現役ムサ美学生がセントマーチンズでドローイングの授業を受けてみた
春。
穏やかな陽気を感じると同時に心を新たに何かに挑戦したい、という気持ちが湧き上がる、春。
「1週間」から本場ロンドンでアートの勉強ができることで年中人気のArtscom@セントマの中でも、春休みのイースタースクールは将来的なロンドン芸大進学を見据えた日本の高校生、大学生がたくさん参加されています。
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科(通称:視デ)4年生の矢部たつこさんもその一人。
ユニコン学生はアート学習未経験者の方が実は多く、現役美大生のコース体験記はあまり掲載していなかったので、感想をうかがいました!
無事25日に帰国することができました、矢部です。
オーバーブッキングで帰れるかと思われましたが、なんとか次の日の便に(大幅に遅れていましたが)乗せてもらうことができました。
感想をとのことでしたので、わたしなりにまとめたCreative Drawingクラスのレポートです。
もし後にこのクラスを取る方がいらっしゃいましたら、参考になれば幸いです。
★こんな授業でした!★
Creative Drawingというクラスは、ムサビの視デの最初の点と線の授業のようでした。
モデルさんを様々な画材でドローイングするというものなのですが、はじめにこの授業でのドローイングの定義とは、みたいな話があります。
アート作品を作るときに定義を説明してもらうというのが初めてで結構面白く聞けました。
*モデルが、モデルのポーズが、使う画材が、どんな属性なのかを常に考えなさい
*女性的?男性的?昼間のよう?それとも夜のよう?
*エゴを入れないで。使う画材が一体何ができるのか、その特性と属性を常に考えて描きなさい。
画材に無理をさせないこと
*モデルが美しいとか醜いとかそんなことはどうでもいい(でも全員綺麗な方でしたけどねw)
そのモデルから発される雰囲気、ポーズからモデルが何を意図したのかを汲取り、それをそのまま描きなさい
これって全部デザインにも置き換えられるなと思って、
*クライアントが、課題が、どんな属性なのかを考えなさい
*子供向け?大人向け?男性?女性?複数?一人?
*エゴを入れない。使う媒体(ポスター、ウェブ、CM、FB、twitter)が何ができるのか、その特性と属性を常に考えて仕事を進めなさい。
*どんな表現をしたかったかではない、どんな課題でどんなクライアントだからこういう表現が一番ベストだと思った
っていうことだなあと。
デザインとアートの境界を常に問うという学校のスタンスもあって、多分これグラフィックの授業取ったら逆でもっとアート寄りのことを言われるのではないかと思う。
わたしはどうしても受験時代のデッサンのくせが抜けなくて、先生から毎回
「あなたはとても上手に描けるけれど、それはあなたが練習を積んで来たからね?技術で描こうとしないで、本質をもっと描きなさい」と言われておりました。
うちのクラスは先生が「なんて素晴らしい団結力なの!」という程仲がよくて、毎日全員でお昼ご飯食べに行ってました。
日本人がわたしを含めて美大生3人、数学者のモロッコ人1人、来年から美大に通うスペイン人1人、英国海軍のイギリス人1人、家具デザイナーのクェート人1人の計7人。
本当に信じられないくらいみんないい人ばかりで、皆でそれぞれのバックグラウンドや今まで作った作品を見せ合って話し合ったりしていました。
特に授業終わりにみんなでナショナルギャラリーに行ったのは面白かった!
モロッコの子のバックグラウンドが複雑で、色んなルーツを持っているらしくそのルーツと展示品を絡ませて説明をしてくれたのです。
あんなに自国の事喋れるかなと我が身を振り返ってゾッとしました、、、
★他のクラスものぞいてみた!★
休み時間のたびに他のコースの授業や作品を覗きに行ってました。
ジュエリーデザインのコースのスケッチやモックアップが面白くて、リアルクローズというよりもアートや舞台美術に近い作品を多くの生徒が作っていました。
他のクラスにしれっと入っても別に何の文句も言われないので、友達と油絵とかグラフィックとかのクラスに紛れ込んではこれもっとこうしたらいいのにとか勝手に批評してました笑
ポートフォリオを作ろうという授業の展示を見に行ったとき身が引き締まる思いをしました。
プレゼンテーションシートが各作品の横に置いてあって、日本人の人のプレゼンテーションシートを読んだんですけど
ターゲット→子供向けだが、幅広い年代の人に楽しんでほしい
みたいなことをもう少しきちんと書いてあって(もちろん英語)
そこに教授からのコメントで
“幅広い年代がターゲットというのはありえない。
ターゲットはもっと絞り込んで作るべきだし、そうでなければデザインはできないはずだ。”
と書かれてあったんです。
教授からのコメントの厳しさもそうだったけれど、何より今のドローイングのクラスにはない
「コンセプト、ターゲット、テーマを英語で明快に説明する」
ということを求められるのだと今更ながら身にしみました。
その日本人の人の英語だって決して下手という訳ではなく、むしろテーマやコンセプトを何行にも渡って丁寧に説明できていた。多分相当喋れるはず。
今のわたしがグラフィックのコースに入ったとして、デザインの思考力、それを英語に変換する語学力の二つが間に合うのだろうかと不安になりました。
★英語について★
さて、一番のネックとなっていた「英語力」の話。
わたしの英語スペックですが、IELTS(英、米での大学院留学を目指す人のための英語能力検定)のスコアレベルでいうと大体3です。
鼻で笑ってください。
これでどれくらい聞き取れたのかというと、7割です。
先生の指示、授業、クラスメイトの会話、全て合わせて7割。
努力したこととしては、とにかく自分から先手を打つこと。
会話でも、授業中の発言でも質問でも、とにかく自分から行けば自分のペースでコミュニケーションが取れるし、どんな話をしているのかを把握することができる。
いきなり話しかけられると ん? てなることは過去に嫌と言う程経験してきたので今回はとにかく先手必勝で話しかけまくってました。
もう一つは、日本語でもいいから何か口に出すこと。
黙っておとなしくしているのが一番良くないし、自分がどんな人間なのか出せない。
とにかくいつも笑顔で、「わーい!」とか言いまくって明るい楽しい場を作ろうとしていました。
授業がわからなかったら「はぁ?」とか言えばもう一度説明してもらえるし、発音がひどくても向こうが頑張って聞き取ろうとしてくれるし、すごく良い人たちに囲まれることができた、というラッキーな部分が大きいですけれど。
投稿者 unicon : 2013年04月11日 11:51