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第14話:アート世界へようこそ
高校時代は美術の授業が好きになれなかったフク子さん。福岡の実家裏で 眼にしたロンドン芸術大学パンフのフォトに魅せられてロンドンまで来た ものの、ファッションかな~それともグラフィックでもやって手に職かな~ と、未来がまだまだ見えてなかった18歳の夏です。
フク子さん、グラフィックとの出会い(2002年8月)
セント・ジャイルズでの3ヵ月はあっと言う間に過ぎ、もう8月(てゆうか、サッカーに熱中してる間に終わっていた)。そしていよいよ、楽しみにしていたセントマでのサマー・スクールが始まる。私が受講するのは4週間のフルタイムのグラフィック・デザイン・コース。
グラフィックは大雑把に分けるとアドバタイズ(広告)、イラストレーション、タイポグラフィなど幾つかのサブカテゴリーで構成されている。サマー・スクールではこれらサブカテゴリーの全種をちょっとずつ体験することになった。
コースが始まったとたんに驚いたのは、この国のグラフィック・デザインが日本で想像していた勉強と全く異質のものであったこと。PCなんて全然使わない。デザインするのは画面ではなくてアイデアだからだと言う。
参加者は本職のグラフィックデザイナーからAレベル学生(高校生くらい)までとさまざま。共通しているのは、皆、コースを本気で楽しんでいること。もちろん授業はすべて英語で行われたが、ワールドカップ観戦で鍛えた英語で2割くらいは理解できるようになっていた(と思いたい)私はチューターに質問しまくり、作品数を増やしていった。
「同じ美術という学科の勉強なのに楽しい…!」
自分で考えて作るという作業に私は快感を覚え、作品作りに没頭した。2割の英語でプレゼンをやってみるなんて冒険もした。日本のアート・デザインの捉え方との差を体験した私は「こんな勉強なら続けていける」と自信を得ることができた。
自信が異常についたのでユニコンを訪ね、ダメもとで聞いた。「ここでやる決心がついた。ついてはファウンデーションに申し込みたいのだが、このサマー・スクールで作った作品だけじゃやっぱりダメ?」
「駄目どす。アート&デザインのファンデの面接を受けるには作品の範囲が狭すぎます。一体地元の英国人がファンデに合格するためにどんだけがんばってきてると思っとるのか。大体あなたはアート学習者必須のヌード・デッサンすらやったことがないでしょっ」と即却下。
「黙っておとなしくオリエンテーション・コースに行きなさい。このサマー・スクールの産物があるからオリエンテーションの面接はノー・プロブレム」
そして、確かに面接で即O.K.9月下旬開始のオリエンテーション・プログラムに向けて私の意気は高まった。
ロンドンはお宝の山?
ロンドンはギャラリーの宝庫だ。ただむやみに乱立しているのではなく、一つ一つが濃い内容を展示している。そんな濃いギャラリーの数が圧倒的に多いという意味で宝庫なのだ。私の初ギャラリー体験はナショナル・ギャラリーだったが、美術・歴史の教科書に載っているような絵画がずらり並んでいて圧倒された。現在は拡張工事のおかげで展示内容の幅が広がり、昔の作品だけでなくそれに影響を受けた現代の作家の作品展示もしているからますます見逃せない存在になっている。
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