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第18話:キングスの虜
〜エピソード4:チェックメイト〜

云われるがままに「強気の」申込みをした静子さん。一方、コース開始からわずか数ヵ月もたたないうちに次々と姿を消していく仲間たち。そして初戦のつまずき。キミは永遠にキングスの虜となるのか?
汝、ただ一粒の麦なれど、負けるな静子、陽はまた昇る。

●●賽は投げられた
UCAS申込書をファンデのコース・ダイレクターに提出したのが2002年11月。書類チェックやUCASへの提出作業は学校のスタッフがしてくれました。
 
●斃れいく俘虜たち
そして再びレクチャー&クラスの日々が始まったのですが、この頃から教室内の生徒数が減り始めました。完全不登校になってしまった人、来たり来なかったりを繰り返す人、遅れてくる人。元々9人しか居なかったので授業に参加している学生が2人か3人だけ、なんてことが日常茶飯事になりました。私だって「今日だけはもう、本当に眠っていたい」と思うことが何度もありました。その頃の自分の日記を読むと毎日のように「疲れた」「眠りたい」と書いてあります。でもここで退くわけにはいかない。慢性睡眠不足の中で申し込んだ6校から返事が来るのを待ちました。

●初戦
3月初旬にUCLから面接通知が届きました。会場には同じコースの申込者達が集まっていて、キャンパス・ツアー後にはUCLの現役学生と話す時間も設けられていました。生徒同士でフランクな話を…というのが学校側の狙いだったようですが、当たり前のことながら周りはフツーに現地学生(英国人)ばかりなので、私はもう「だんまり」でした。
その後にインタビュー。申し込んだ学部がGeography & Anthropologyだったので、Geography科とAnthropology科から教授が1人ずつの、つまり2対1でのインタビューになりました。

「なぜUCLか」「なぜGeographyか」「なぜAnthropologyか」「どんな分野に興味があるのか、それはなぜか」…「なぜ?」の質問の山でした。インタビュー対応策をほとんどしていなかった私はうまく答えることができません…(やっぱり準備は大事ですね)。笑ってる場合じゃないですが、私が質問に答えられずに「うぅ~~」とうなっていたら、教授が「君のPersonal Statementには○○って書いてあるから、それが理由じゃないのか?」と助け舟を出してくれました…。やばいってゆうか、せめて自分の書いたPersonal Statementくらい読んでからインタビューに行けよ、過去の私っ!
気まずい雰囲気のままインタビューは終了。後日連絡しますと云われました。

●オレには考えがある…
その1週間後にKing'sの面接がありました。King'sでは教授と学生4人でのグループ・インタビューでした。UCLでの苦い教訓から今度は下準備をして向かったのですが、面接というより質疑応答の場という雰囲気で、UCLの「取調べ」ほどはきつくありませんでした。

実際の面接があったのはUCLとKing'sのみでした。LSEは独自のテストとインタビューをすると聞いていたから待ち構えていたのですが全然召集がかかりません。これって、書類審査の段階で既にボツってこと?残りの3校からもまだ連絡がないし、私行くところあるのかなぁ~(どんより)。
ユニコンに気休めに相談に行くと「そんなもんよ、この国は。ま、超最悪の場合はオレに考えがあるから」と、あまり気にかけていない様子のS氏に元気づけられました。後で知ったことですが、S氏の『オレには考えがあるから』は彼の口癖で、本当はこれといった考えが無い時でも平気で口にするセリフなのだそうです。そんなこと、当時知らなくて本当によかったです。

2003年4月、各大学からパラパラと結果が送られてきました。UCLとSOASからはRejectionを食らいました。UCLはあんなインタビューだったのでまぁしょうがないとしても、(ラクラク当確と踏んでいた)SOASにまで断られたかと思うとへこみました。
King'sからはConditional(条件付き)オファーをもらいました。条件は2つで、Foundationの最終評価でB以上を取ることとIELTS6.5。保険2校の条件は最終評価がBかC以上であることとIETLS6.0。これまでのところ3勝2敗です。肝心のLSEからはまだ返事が来ず(ダメモトだったので)まぁRejectionだろうと覚悟していました。ユニコンに遊びに行ってS氏と「これはKing'sで腹をくくるしかないね」などと話していました。

●逆転勝ち
あと3年間もあそこで勉強するのかァと微妙な安堵感に浸っていた或る朝、LSEからの封筒が届きました。開けてみると「Conditional Offer」の文字がっ!えぇーッ!自分の眼を疑いました。UCLもSOASも不合格なのに、LSEは合格!? そんなことってあるの?(ありました)最終評価BとIELTS7.0が条件でした。

これで6校からの結果が出揃いました(4勝2敗)。幾つオファーをもらっても5月には2つに絞らなくてはいけません。迷うことなく第一希望はLSE、第二希望はKing'sにする旨をUCASに報告しました。あとは2つの条件をクリアするために頑張るのみです。その時はIELTSスコアがまだ6.5だったので、これは死ぬ気で勉強して7.0取らなければ、と気合が入りました。

最後のIELTSは7.5。これで条件の1つはクリアできたけれど、どんなオファーをもらっていようが、最終試験をクリアしない限り何の保証もありません。このシステムは外国人学生対象のファウンデーションに限らず、英国全土共通のAレベル・テストを控える現地学生も同様です。どう転んでも最後の最後まで手を抜けないようになっているのです。


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