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第07話:Fashion Portfolioの秘密

ちょちょっと本気出せばファッション・デザイナーくらい案外スイスイかもね~と内心なめていた福子さん。いやはや、しろうとさんは怖いあるよ。そんな福子さんでしたが、コースが進むにつれて正気を取り戻して…

●●●福子さんのLCFライフは続く(2002年)●●●


エピソード2:東アジア勢の団結
~~ガイジンってマジ疲れる?~~

授業の大黒柱
ファッション・デザイン、写真(撮影から現像まで)、ドローイング(静物と着衣デッサン)、チューターを囲んで10人くらいでやるカルチュラル・スタディーズのセミナー(ゼミ)が年間を通して行われます。これらを柱として色々なコマがタームごとに加えられます。

アート枠とファッション枠
[アート枠]では、ペインティング、立体造形、コラージュ、[ファッション枠]ではスタイリング、服のリメイク、ファッション写真の撮影、ファッション用語解説、ファッション史、ファッション・マーケティング、ファッション・ジャーナリズム、アクセサリー・デザイン、パターン・メイキングなどの学科をやりました。

服作り
ところで、パターン・メイキングの最終課題は自分が作ったパターンを使って実際に服を作ることでした(小学校の家庭科でやった運針以外、縫製の勉強なんかしたことないのに…ブツブツ)。幸い、服飾学校出身の日本人クラスメートが多かったので、その人たちに助けてもらうことができましたが。

第二、第三タームではメイク・アップと刺繍の授業を選択履修できるのですが、ポートフォリオ作りや卒業制作の大詰めで忙しかったのでパスしちゃいました(わたしだけじゃないもん、ほとんど全員パスしていたもん)。

卒業制作とわたしのガイジン観
卒業制作のネタはグループ・プロジェクトによるマガジン作り。マイ・グループは【日本のマキモノ(巻物)】というコンセプトで、布をくるくる巻いていくような形の雑誌を作りました。

わたしのグループは、日本人5人、台湾人2人のアジア勢で構成されていました。やはりと言うか(残念ながらと言う気持ちも多少込めて)アジア同士だと「かっこいいと思うもの」の好みが合うのですね(日本人と台湾人は特に近い)。日本人同士なら細かいところを詰めるのがラクだしぃ……と、どんどんお手軽な方向に流れる私たち?

言い訳するわけではないが、卒業制作の頃には「ガイジンはもうイイヨ」って感じだったんです・・・(疲)。
入学してからの8ヵ月間いろんな課題をいろんな国の人とやってみた結果、「ハクジンって、意外とダサ・パセンテージが高い!」という結論に達していたし。ファッションの学校なんだから、モード・ハイファッション系が主流かと思いきや、露出ばりばりのオネエ系(キャバ系?)の「お洋服」ばかりデザインしたがるヨーロッパ&アフリカ系が多かったし。
その一方では、アジアからもヨーロッパからも完全にずれてサリー風のデザインばかりしているインド人がいて。南アジア人は全員お嬢で金持ちだから学校に来たり来なかったり。ていうか、課題をやってる気配すらないし。しかもガイジン、わがままだし、適当だし、作業は雑だし、すぐ人に押し付けるし。キーッ!やってられんのじゃ!

そんなこんなで、マイ・グループは「最後くらいは、のびのびと心ゆくまで自分たちの好みで自分たちの納得できるイケてるものを作りたいよね」と内輪で熱く団結したのでした。台湾人が混じっているからインターナショナルと言えば一応インターナショナルだしね。視野が狭いとかグローバルじゃないとか、言いたければなんとでも言ってくれ。

・・・とはいえ、紙面を作っていく過程で、当然モデルやメイクアップ・アーティスト、フォトグラファーが必要になります。そんな時はそれなりに他グループと協力しあったり、寮つながりや友達の紹介で他のコースやカレッジに通っているガイジンたちとコラボレーションしたりもしましたよ。これは、やはり5カレッジ(当時)にわたって色々な専門学科を有するロンドン芸大の「ヨコのつながり」ならではの芸当でしょう。たとえば、写真ならLCP(現LCC)の学生に頼んで、好みの感じに仕上がるまで何度も現像してもらえたし。まともにプロラボ(プロが使う現像所)に頼んだらいくらお金があっても足りん・・・ようなことがタダ同然でできました。そういう面では大変恵まれた環境でした。

      ●●はぶはぶごっと●●
    ~~我、英語とかく戦えり(まさに、戦いだ)~~

渡英するなり大衝撃を受けたのは「英語が英語に聞こえない」こと。アメリカ英語中心の教科書で学んできたせいなのかイギリス人が何を言っているのか全然わかりません(これでも結構英語には自信あったのに)。英語というくらいだから本家本元は英国なんですけどね(地元の英国人はアメリカ人の英語をAmerican languageと呼んで区分け?しています)。 なかでも特に鮮明な記憶として残っているのが「Have you got~?」のフレーズ。はぶゆーごっとぉ、何それ?どうゆう意味?なんでハブなの?ていうか何で完了形なの??どぅーゆーはぶ、じゃだめなの?

英語に関するエピソード(主に恥をかく話)はつきませんが、実際にイギリスに来て気付いたのは、非英語圏のガイジン同士の英語のほうがわかりやすくて通じやすいということです。ネイティブだらけの場では(外国人に対するような遠慮が無いので)話すスピードが速いし話し方に癖があるし、出身地による訛りもあるし、わけわかんない単語の連発だしで、何について話しているのかすらさっぱりわかりません。とくに若者(ティーネージャー)の言葉なんかほぼ意味不明です(てゆうか、どこの国にも若者言葉はあるのね)。 ガイジン同士は母国語でない言語を使ってのコミュニケーションなので、互いに思いやる気持ちがあるし、話すスピードが近いし、使う単語も限られているから、かえって意思疎通が図りやすいというわけ。

赤面エピソードは学校(カレッジ・オブ・ファッション)でも。ズボンのことを言ったつもりで「パンツ」と言ったらブツブー。イギリスでは、「パンツ」は本物の下着のパンツのことなのです。ついでに「サスペンダー」はガーターベルトのこと。アメリカ人風に「ペェ~ンツ」と言ったときの相手の顔には「何、この無教養で下品なガイジンは」と書いてありました。


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